『がん患者の感染症診療マニュアル』
『がん患者の感染症診療マニュアル』
http://www.amazon.co.jp/o/ASIN/4525423218/chuchublog-22/ref=nosim
ぼく自身はがんの患者さんを診ることが少ないので、気になって買ったはいいけ
れど、ずっと積読していた本でした。でも旅行にいくときにちょうどいいサイズ
の本を…と見渡していたらたまたま眼に入って、カバンに放り込んで読んでいた
らとても面白かった!!!
『がん患者の…』とかいているくせにそうではなくて、『入院患者の…』だとつ
くづく思います。
感染症は知識も大事だけれどまずたいせつなのは、5つのステップ。
@患者背景
AFocus
B病原体
C治療方法
Dその後の経過
この本はそこに徹底的にこだわっているのでただ読んでいてもトレーニングにな
るし、そして研修中に必ず目の前に現れる感染症の患者さんを前にどんなことを
考えればいいのかをきっちりと教えてくれる。こんなふうに感染症医の頭の中身
を整理してくれている本は、ぼくは読んだことはなかった。
特にぼくは、Dその後の経過、が読んでいてとてもうれしかった。感染症の患者
さんの状態をどうフォローすればいいのか、とても悩んだ時期があった。勉強す
れば勉強するほど上の先生とぶつかるし…。体温下がって元気でFocusもよくなっ
ている患者さんのCRP計測しなくちゃ嫌な顔されたりするし…。
まあわざわざ上司とぶつかる必要はないだろうけれど、やっぱり論理が重要な医
師の修行中であるからには、地域的・施設的・習慣的な形式ではなく、理論的な
形式を身につけたいところで。それを明示してくれるのは、とてもありがたいで
す。
でも、監修の大曲先生とその後お話させていただく機会があってそこのところを
話したら、あれも悩みながら思い切って書いたんだよね…でも誰かが思い切って
書かないと議論も始まらないからえいやと書いたんだ、なんてことをおっしゃっ
ていました。そこのところもかっこいいなと思います。
しかも白衣のポケットに入るいいサイズ。感染症の思考パターンを頭に刻み付け
たい研修中の方は、ぜひ!!